現在、京都文化博物館では『大名茶人 織田有楽斎』展が開催されています。
織田有楽斎って誰?
そう思われる方が多いかもしれません。
しかしながら織田という苗字は、あの有名な戦国武将と同じです。
ということは?
本名を織田長益(ながます)といい、兄である信長とは13も歳が離れていました。
武将として有名な兄とは違い、この有楽斎という弟は茶人として名を上げます。
織田・豊臣・徳川の三天下に仕え武将としての出番も多少はあったのですが、彼が活躍したのは戦場よりも学問や文化・教養の場でした。
文武の「文」を得意とした長益の性質を兄はよく理解しており、信長は長益が輝ける場所において彼を重宝したと言われています。
そんな長益(有楽斎)の四百年忌を記念した特別展が今、京都文化博物館で行われているのです。
特別展鑑賞後の感想
振り返りのために図録を購入しました。
見たものをすぐ忘れてしまうので、図録が発売されるのは本当にありがたいです。
展示の後半には茶道具がずらりと並んでいましたが、私が印象深かったのは書状の方です。
徳川家康、細川忠興、前田玄以、金地院崇伝、古田織部と名だたる面々とのもとが並んでおり、有楽斎の存在の大きさを感じました。
また展示には、有楽斎に関する品のみならず、ゆかりの寺院:正伝永源院の寺宝も並びます。
正伝永源院の公式ホームページにも記載のある『織田有楽斎像』、『青銅鐘』、狩野山楽の襖絵『蓮鷺図襖』などにもお目に掛かれたのは感激でした。
公式図録の表紙にも登場していますが、写真でしか見たことの無かった『黒楽「正傳院」字茶碗』は、仁阿弥道八の作品なんですね。
仁阿弥道八は京都検定の公式テキストにも記載のある人物ですが、あの茶碗を彼が作ったとは知らなかったので驚きました。
黒に白の「正」と「傳」の文字が印象的な作品なので記憶に残ります。
有楽斎が手造りした茶碗の展示もありました。
数ある展示の中で一際私の目を引いたのが、狸型壺です。
特別展公式SNSにもこの壺に関する投稿があったので有名な壺なんですね。
私は全く知らなかったのでしばらく足を止めて見入ってしまいました。
この狸型壺のグッズもいくつか販売されており、その可愛さからいくつかを購入してきました。
購入した限定グッズをご紹介!
先日、正伝永源院で茶室・如庵(複製)を拝見した際、躙口すぐの内側の壁に文字が書かれていることに気が付きました。
その正体は暦であり、暦が壁に貼り付けられていることが、如庵が暦張席とも呼ばれる所以でもあります。
茶室の土壁を保護するために貼られているのだそうです。
その暦と同じデザインのてぬぐい(数量限定)が発売されていたので、迷わず手に取ってしまいました。
こちらは有楽斎URAKUSAIのファイルです。
さいごに
織田信長の弟であり、
徳川方で石田三成軍と戦い、
豊臣と徳川の和議を取り持った人、
それが織田有楽斎です。
こう並べてみるとなんというか、とにかく凄いですよね。
頭を痛めることは数えきれないほどにあったことでしょう。
だからこそ興味深い人でもありますよね。
織田有楽斎は四百年忌ということで話題の為、今年の京都検定にも出題される可能性があると思っています。
勉強のために最近は少しずつ彼について調べているのですが、本当に奥深い人だという印象です。
彼の人柄に関する個人的な見解を述べるのは控えますが、この特別展に足を運ぶだけでなく、家に帰ってから図録をじっくり読み込むと、織田有楽斎という人を知ることがいかに面白いかがわかると思います。
<特別展>4・3階展示室
『四百年遠忌記念特別展:大名茶人 織田有楽斎』
(2023/04/22~2023/06/25)