立華の京都探訪帖

1200年の都を歴史・文化的視点から楽しむ旅記録 ᝰ✍︎꙳⋆

伏見稲荷大社の特別公開2023春(荷田旧宅、御茶屋、松の下屋及び庭園)

 

早いもので今年の春の特別公開も本日5/14をもって、全ての日程が終了となります。

私にとっては今年が初めての参加となりましたが、残念ながら拝観できたのは伏見稲荷大社の1ヶ所のみ。

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とはいえこちらの伏見稲荷大社の特別公開は、京都検定の対策に真剣取り組み始めた2,3年ほど前から気になっていた場所で、今年の特別公開では一番の目的地でもありました。

神社の敷地にお茶屋?と興味があったので、その存在を知ってからは内部を見てみたいと思っていました。

残念ながら特別公開の機会が毎年この春の文化財公開期しかなく(まれに京の夏の旅や京の冬の旅など他の季節の特別公開への参加もあるようです)、GWの間の数日だけの公開が常だったのですが、なんと今年は3週間と長い期間の公開だった為についに拝観することが出来ました。

 

 

いざ現地へ

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訪日観光客も戻って来た京都。

ましてや外国人観光客に人気の日本の観光スポット第一位ともなった、あの大混雑地での特別拝観がどのようなものなのかがあまり想像出来ず、どこで受付するのだろうか?と思いながら現地に足を運びました。

拝観受付は楼門下、写真右下に見える仮設テントでした。

楼門より手前に受付があるとは思っていなかったので、あやうく見逃しそうに。

GWなどで参道が大混雑の場合は、受付せずに拝観場所に行かれてしまう方もいるかもしれませんね。

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楼門をくぐると右奥に小さな案内が出ていました。

 

荷田春満旧宅内部を拝観

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その先が一つ目の拝観場所、荷田春満旧宅です。

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かだのあずままろと読みます。

伏見稲荷大社の社家(羽倉家)出身の江戸時代中期の国学者です。

彼は国学の四大人(しうし)の一人といわれ、門弟の賀茂真淵、その賀茂を師事した本居宣長、そして平田篤胤と共に国学の発展に尽力しました。

有名な人にも関わらず、あまり名の知られていないことに驚いてしまいます。(自分含め)

訪れたのは土曜でしたが、大変に賑わう伏見稲荷大社とは違いゆっくりと拝観出来ました。

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公開場所は旧座敷である書院と庭園です。

素敵なお庭が印象的でした。

床の間に京都の地図が飾られており、去年は本居宣長に関する貴重なものが展示されていたとガイドさんがおっしゃっていました。

お目に掛かりたかったです。

江戸時代の古図によると、現在お隣の東丸神社がある場所には居宅が描かれているとのこと。

かつてはその場所が生活の場として使われていたのですね。

 

御茶屋と松の下屋及び茶室

荷田旧宅を出て更に奥(右手)へ進むと次の拝観場所がありました。

お茶屋と松の下屋及び茶室です。

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門をくぐって左手がお茶屋、正面奥が松の下屋及び茶室でした。

左にあるお茶屋は、後水尾天皇が仙洞御所の一部を移築したものだそうです。

茶道には詳しくないので正しいことはわからないのですが、茶室の名残を残すものがいくつか見受けられました。

続いての松の下屋は社家である松本家の旧宅跡で、建物自体は大正時代のもの。

見応えのある回遊式庭園には、お茶屋の方から入園できます。

ガイドの方にお庭の楽しみ方を教えていただき、それに従い散策してみると…新しい世界が見えた気がしました。

自由な散策も良いですが、やはり初心者はある程度の知識を持つべきだと痛感。

今は枯れてしまっていますが、かつては池があり、川の流れがあったそうで、奥には茶室が今もその存在感を示しています。

東(奥)に向かってせり上がる庭園は今でも十分に見応えがありますが、池があった頃はより美しい姿を見せてくれていたのだと思いました。

 

さいごに

観光客でごった返す伏見稲荷大社の敷地内。

その門をくぐって建物の外に出ればいつでも賑わう観光地でありながら、荷田旧宅・お茶屋・松の下屋及び庭園内にいると、まるで自分が伏見稲荷大社とは別の世界にいるかのような静寂を感じます。本当に不思議な感覚でした。

伏見稲荷大社への参拝とこの3ヶ所の特別公開が重なる際には、是非足を運んでみてください。