今回は、過去の振り返りの投稿です。
大徳寺の塔頭はいくつか拝観しましたが、まだまだ未訪問の場所も多いため、通年拝観や春秋の定期以外で機会がない塔頭の特別公開は、なるべく足を運びたいと思っています。
あまり特別公開がない塔頭の中でも、聚光院は千利休と茶道三千家の菩提寺であることから、観光客に向けての公開はないものの、法要などでお茶席が設けられることが多くあります。
それゆえ、お茶を嗜む方にとっては馴染みのある塔頭だと思われます。
私にはそういった関わりはないため、特別公開での拝観を楽しみにしていました。
2021年の京の冬の旅での特別公開に加えて、翌年2022年から2023年にかけての半年間にも公開があったので、そちらで現地にお邪魔することができました。

今回はその際のことを書き残しておこうと思います。
京博から国宝『花鳥図』が帰ってきた!
2022から2023にかけて聚光院の特別公開があったのは、普段は京都国立博物館に寄託されている国宝の『花鳥図』が5年半振りに聚光院に里帰りしたからです。
特別公開は予約優先で、ツアー形式でした。
事前予約優先とはいえ、当日も空きがあれば申し込めるとのことだったので、他の場所の拝観を終えた足で現地へ向かいました。
受付の方に声をお掛けすると、次の回に空きがあるとのことで、すぐに案内していただけました。
訪れたのが3月の平日だったせいか、少ない人数で、ゆったり拝観できました。

国宝『花鳥図』は、あの狩野永徳とその父・松栄が描いた作品で、現存する永徳の作品の中でも最大のスケールだそうです。
フランスでも展示されたことがあるとのことで、さすが国宝!ですね。
『花鳥図』は聚光院の本堂に置かれるべくして計算され、描かれたものだそうです。
そんな作品があるべき場所に里帰りし、あるべき場所に再び飾られている姿を拝見すると、胸に込み上げるものがありますね。
聚光院には国宝の障壁画以外にも有名なものがいくつかあります。
千利休が作庭したと伝わる方丈庭園「百積の庭」や、重要文化財のお茶室「閑隠席」「枡床席」の存在は、京都検定の勉強の過程で知っていましたが、やはり実物を拝見できると知識が深まるなと感じました。
また『花鳥図』と同じく5年半振りに公開された、千住博氏の『滝』という障壁画も素晴らしかったです。
ネットなどで写真を見てどういった作品なのかは知っていたものの、間近でお目に掛かるとその魅力に圧倒されました。
作品をずっと眺めていると、轟々とした滝音が聞こえてきそうで、青く塗られた部分から感じられる寒々しさには、まるで自分が本当に滝の傍らに立っているかの気持ちにさせられます。
思わず作品の中に取り込まれそうになりました。
他、個人的に興味深かったのは、狩野松栄の『竹虎遊猿図』(複製)です。
ふわふわとした毛並みを感じるようなリアルなお猿さんが描かれた作品なのですが、同じような作品が、聚光院の拝観の後にお邪魔した三玄院にも残されていて驚きました。
御朱印もいただけます
確か書置きだけだったかと思いますが、御朱印の授与もありました。

あまり公開がない場所の御朱印は、拝観記録として残すためにも、いただきたいですね。
さいごに
今回の国宝『花鳥図』の里帰りは5年半振りということで、前回の2016年にも里帰りがあり、それにあわせた特別公開が行なわれています。
それゆえ今回は拝観ができなかったという方も、また数年後に里帰りがあるかもしれないので、諦めずに次の機会を待つ価値はあると思います。
私もまた特別公開があれば、お邪魔するつもりでいます。