立華の京都探訪帖

1200年の都を歴史・文化的視点から楽しむ旅記録 ᝰ✍︎꙳⋆

歴史探偵『誕生!「古都」京都』(03/13放送分)

 

NHKで放送されている「歴史探偵」をよく観るのですが、先日、京都が取り上げられた回がありました。

今日は番組内で気になったことと、視聴したことで勉強になったことについてまとめておこうと思います。

 

探偵は、京コトはじめでお馴染みの森田アナウンサーでした。

(最近知ったのですが、京コトはじめは3月で放送が終了してしまったようです)

 

 

破壊と再生の街・京都

今回の番組のテーマは、現代人が今の京都に対して抱いているイメージが、一体いつ・どのようにして出来上がったのか?というものでした。

番組のスタートは京都市街地の中心、京都御苑からでした。

 

明治以前の京都(京都御苑

番組内で探偵もおっしゃっていましたが、私も京都検定の勉強を始めるまでは、京都御苑が昔から今のような姿だと思っていました。

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それゆえ京都御苑が、明治維新が始まるまでは公家屋敷が立ち並ぶエリアだったことを知ったときは、とても驚きました。

そんな京都御苑から、いくつかの視点が取り上げられていました。

 

西園寺邸跡

現在の京都御苑の中には、かつての公家屋敷跡地のいくつかに碑が建てられています。

番組内で訪れていたのは西園寺邸跡でしたが、過去に投稿した記事がありましたのでよろしければ参考にどうぞ。

 

檜垣茶屋

かつて京都御所の宜秋門の前には茶屋があったそうです。

名前は檜垣茶屋。

どこかで聞いた覚えがあると思ったら、現在の中立売休憩所にあるレストランの名前でした。

観光で京都御苑を訪れるならば、中立売休憩所に訪れる方も多いと思いますので、お食事されたことのある方もいらっしゃるかもしれませんね。

まだ食べたことは無いのですが、私が以前から気になっているのは「御所車御膳」というメニューです。

気になる方は是非現地でお召し上がりください。

 

蛤御門の変禁門の変

京都御苑に残る歴史の痕跡の一つといえば、蛤御門に残る弾痕です。

番組でも取り上げられていました。

この禁門の変が原因となり、幕末の時期には現在の京都御苑から京都駅までのエリアが焼けてしまいます。

これ以前にも京の町は幾度となく破壊されてきましたが、中心部における大きな破壊はこの時が最後でしょうか?

これ以降、明治になってから京の町は再生へと向かっていきます。

 

明治以後の京都(神仏分離と「美術」の誕生)

明治政府になってから、今までは共存していた寺社仏閣が切り離されていきます。

神道を国教化させるために仏教を排除しようとする、明治政府の動きが影響していました。

 

明治維新以前、清水寺には地主神社の鳥居が存在していた

番組内で知ったのですが、昔は清水寺の境内に地主神社の鳥居が立っていたそうです。

今では考えられないことですが、神仏習合が当たり前だった昔はそういった光景が何の違和感もなく、民衆に受け入れられていた事実に驚きました。

しかしながら神仏分離の影響で、町中にあるお地蔵さんなどの撤去を免じられることになり、庶民信仰は近代化を阻害するものを捉えられていたようです。

 

ウィーン万博がなければ今の京都はなかった?歴史都市としての京都

明治維新が始まった当初、政府は古き良き日本の文化を軽視していました。

それは諸外国に追いつき、彼らと肩を並べるためであり、日本の文化は外国には受け入れられないと考えていたからです。

京都でも、今はさまざまな博物館などで、当たり前のように美術品としての仏像などを見学することができますが、それは佐倉常七という人のおかげであったことを知りました。

佐倉常七は、ウィーン万博の際、日本の庭園が世界から高評価を得るという事実を目の当たりにし、日本独自の文化を軽視する明治政府の考えが間違いだと気付きます。

帰国後に彼がそのことを政府に伝えたおかげで、日本のあらゆる文化が「芸術」として保存されていくことになります。

彼がいなければ、京都は今ほど日本の歴史都市にはなっておらず、国内外から観光客が訪れる大観光地にはなっていなかったかもしれないということがわかりました。

 

さいごに

最初から最後まで非常に興味深い回でした。

今の京都があるのは、佐倉常七のおかげだけでなく、地元人である岩倉具視のおかげでもあるそうです。

岩倉具視に関しては、左京区岩倉具視幽棲旧宅という国の登録有形文化財があり、一般公開もされているので、今年のうちに出掛けてみたいと思っています。

それにしても、この番組のおかげで、海外視察というものが本当に重要な仕事であることに気付かされました。

現代の日本政府による海外視察の必要性については思うところが多々ありますが、学んできたことは、是非とも今後の日本の未来に活かしていただきたいものですね。