立華の京都探訪帖

1200年の都を歴史・文化的視点から楽しむ旅記録 ᝰ✍︎꙳⋆

六波羅蜜寺の宝物館へ空也上人立像を観に行こう!

 

最近ふと思い付いて、「そうだ京都、行こう。」のYouTubeを開きました。

すると初夏のTVCMが完成しており、公式ページに動画がアップされていました。

今年のテーマは、仏像めぐり。

アップされていたのは「空也上人篇」なのですが、ということはもしや他のバージョンも制作中ということなのでしょうか。

そうだとしたら、他のCMも楽しみですね。

 

そんな空也上人篇のCMに登場している空也上人立像ですが、まずあの像を最初に見た誰もが思う感想は、次のものでしょう。

 

口の中から何かが出ている

 

もしくは、

口に咥えた棒のようなものに何かが留まっている

でしょうか。

 

アレは一体何なのでしょうか?

あの像が有名なことは知っているし、何となく何処かで目にしたような記憶はあるけれど、詳しいことはよく知らない、、、

という方もいらっしゃるかと思います。

実は私も少し前までは、ほとんど何も知りませんでした。

 

空也上人立像は六波羅蜜寺にあり

まず第一にあの仏像のモデルは、空也上人という人です。

彼は平安中期を生きた僧侶でした。

元は醍醐天皇の息子、つまり皇室出身者だったのですが、出家し仏門に入ります。

僧侶となった空也上人の思想は、何人もただひたすらに南無阿弥陀仏を唱えるだけで救われる、極楽往生できるというものでした。

 

つまり空也上人立像の口から出ている6つの謎のモノの正体は、「南」「無」「阿」「弥」「陀」「仏」の6つの阿弥陀仏阿弥陀如来)なのです。

空也上人の念仏スタイル(口称念仏:口に念仏を唱えること)を表現したのが、あの彫刻だったわけです。

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空也上人立像は一つのみならず複数あり、いくつかのお寺が所有しています。

ただ教科書に掲載されることもある一番有名なものは、京都の六波羅蜜寺が所有・所蔵しています。

場所は祇園建仁寺のほど近くです。

 

展示されているのは宝物館:令和館内

その六波羅蜜寺には宝物館があります。

実はこの宝物館、2022年にリニューアルオープンしたばかり。

奥まった場所にあるため少しわかりにくいのですが、本堂の北西に位置しています。

門をくぐってから本堂の前を通り過ぎ、朱印所を左に曲がると奥に見えてきます。

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六波羅蜜寺にある空也上人立像は、康勝という仏師が造りました。

奈良の東大寺・南大門にある金剛力士像を造ったことでも知られる運慶の4男です。

宝物館には運慶が造った地蔵菩薩坐像などの展示もあり、他にも平清盛坐像などが並んでいます。

なぜこの六波羅蜜寺平清盛像があるのかというと、実はこの六波羅蜜寺がある辺りは六波羅という地名で、かつてはあの有名な六波羅探題が置かれた場所でもあるからです。

当時、その周辺には平家一門の屋敷が立ち並んでいたため、この六波羅蜜寺は平家ゆかりの地でもあるわけです。

 

さいごに

さて、空也上人立像の謎は解けたでしょうか。

謎が解けたら次は実物を観てみたくはなりませんか?

京都に観光に行かれる方の多くは、清水寺に足を運ばれるかと思います。

その際には市バスを利用される方が大半でしょう。

六波羅蜜寺は、その清水寺最寄りのバス停:五条坂停留所からも近いので、ふと思い付いた時にふらっと足を運ぶことも出来るお寺です。

祇園建仁寺からもすぐの場所ですので、是非この夏に足を運んでみてください。