昨年、今年と2年続けて開催された京都モダン建築祭。
初年度開催より前の2021年秋。
岡崎にある京都市京セラ美術館では、開館1周年を記念した特別展が開催されました。
その名も『モダン建築の京都』展。
この京都市京セラ美術館自体も、京都のモダン建築の一つとして大変有名な場所でもあります。
この美術館が生まれたのは1933年、昭和8年の時。
昭和天皇の大礼を記念する事業の一つとして、当時の京都の街に馴染むように日本趣味を基調とし、建築家:前田健二郎の原案をもと、建設が進められていきました。
建設当時の名前は「大礼記念京都美術館」。
戦時中は軍に接収されながらも、のちに解除され、その名を「京都市美術館」に改称。
そして2020年5月26日。
「京都市京セラ美術館」として新しく生まれ変わった姿がお披露目されました。
『モダン建築の京都』展は、この改修完了から1年が経ったことの記念展であり、連動企画として本願寺伝道院や大雲院祇園閣、長楽館などの特別公開も実施。
近頃モダン建築が話題ですので、今日から何回かに分け、記念展の様子と合わせてそれらの特別公開についても振り返ってみたいと思います。
『モダン建築の京都』展の様子
さてここからは、『モダン建築の京都』展の内容についてゆるっとご紹介したいと思います。
私がこの美術館に入館したのはこの記念展の時が初めてでした。
内部には展示室がいくつもありました。
お目当ての会場までの長い道のりに、迷子になりかけながら奥へと進んで行きました。
受付を済ませると目に入ってきたのは壁に飾られた今回の記念展のメインビジュアル。
中川学さんという方が描いたものだそうですが、個人的にとても好みでした。
「四神相応之地」である平安京があった京都市の街並みらしく、東西南北には四神が配置されています。
まずご紹介するのは、国立京都国際会館の模型です。
こちらの設計は、大谷幸夫。
国際会館は、京都議定書が採択された場所としても有名です。
合掌造りの民家や神明造りの神社を連想させるデザインになっており、模型ではわかりづらいのですが写真を上から見てみると、周囲の山々を借景とした回遊式の日本庭園のような外観になっています。
横からみると宝ヶ池に浮かぶ軍艦のようにも見えますね。
次は絵描き村と呼ばれた衣笠にある、木島櫻谷文庫(旧邸宅)からの展示です。
木島櫻谷は四条派である今尾景年を師とした京都画壇の一人です。
木島櫻谷文庫は定期的に公開がありますので、現地を訪れればまたこちらの貴重な品々にお目に掛かることが出来るのかな?
私はまだ現地に足を運んだことがないので、近いうちに確認しに行って来たいと思います。
三条通のモダン建築といえば、のこれらの模型もありました。
東大を卒業後に竹中工務店に入社した藤井厚二。
タイトルからすると学生時代の藤井が使っていたノートということですね。
同じく東大出身の伊東忠太と藤井は20歳ほど年が離れていますので、藤井が東大で伊東の講義を受けたということの証とも言えるのかも?
それにしてもノートが凄い。
美術科の学生のノートのような美しさ。
煙草王・村井吉兵衛の別邸でもあった長楽館からは家具などが展示されていました。
村井吉兵衛は日本初の両切り紙巻きたばこ「サンライス」を発売した人です。
アメリカ産の葉たばこを原料にした「ヒーロー」は大ヒットし、村井兄弟商会を設立。
サンライス、ヒーロー、村井兄弟商会などの文字が展示の看板?にも見受けられますね。
限定グッズなど
京都のモダン建築に関連して多くのグッズが発売されましたが、さすがの人気で完売品も多く、欲しかったものが買えずに終わってしまったほど。
図録ではありませんが、公式ガイドブックとして発売されたテキストは今後の勉強のために購入してきました。
さいごに
記念展に参加した当時は全くと言っていいほどモダン建築に興味が無く、京都検定対策のために現地に足を運んだだけだったので、せっかく撮影が可能だった展示物をいくつもスルーしてしまいました。
他にもたくさん展示されていた記憶があるのですが、もうほとんどが朧げに。
関心が無いって本当に勿体無いですね。
それでもこの記念展に参加したことをきっかけに、少しずつ京都のモダン建築に興味を持てるようになったので、何事も参加してみることが大切なのだと勉強になりました。