読書感想文の回はまだまだ続きます。
日本最古の茶書と言われている『喫茶養生記』。
私はこの本の存在を京都検定の勉強の過程で知ったのですが、いつか読んでみたいと思っていました。

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今回ようやくその機会を得ましたので、さらっとですが感想を書き残しておこうと思います。
まず『喫茶養生記』の内容についてですが、そもそも上下巻に分かれていることを知りませんでした。
そして更に、中身が私が想像していた内容とは少し違ったものだったので驚きました。
『喫茶養生記』には、その名の通り、茶を飲むことによって得られる養生効果が書かれているのですが、それは上巻の話であって、下巻には「茶」ではなく「桑」による健康についての内容が延々と書かれていたからです。
漢方の知識がある方には馴染みある内容なのかもしれないとは思ったものの、それ以外の人間にとっては難しい内容なのでは?と思いました。
『喫茶養生記』の全訳のあとには栄西に関することが書いてあり、建仁寺の開山であること程度にしか知識がなかった私には非常に勉強になりました。
また、栄西の師である明雲という人は、平家の護持僧であったために討たれてしまうのですが、そのことがなければ、栄西は比叡山から独立することはなかったかもしれないようです。
つまりはあの建仁寺は存在しなかったかもしれないということになりますね。
また栄西は、泉涌寺の俊芿と交流があったこと、『愚管抄』で有名な慈円に妬まれ悪口を広められていた可能性が非常に高いことなど、今回新たに知ったことがたくさんありました。
さいごに
『喫茶養生記』は上下巻本ですが、訳者の方は『喫茶養生記』のその名は、茶のことが書いてある上巻のみに付けられるべきものだと考えているそうです。
そして、桑の効能が書いてある下巻については、本文とは別物であって、書き添えられたものと考えているとのことでした。
私もその点には同感です。
とはいえ、残念ながら、栄西の直筆の『喫茶養生記』が現存しているわけではないので、それを明らかにする術はもうないとも述べています。
建仁寺塔頭の両足院本など、写本は複数現存しているようなので、いつかお目に掛かる機会があるといいなと思いました。
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