今日は、京都関係で最近読んだ本をご紹介します。
『瓢鮎図』(ひょうねんず)という絵画を御存知でしょうか?
国宝の水墨画です。
京都の方にとっては誰もが知る作品かもしれませんし、国宝ということで教科書にも掲載されているため、京都府外の方の中にも御存じの方はたくさんいらっしゃるかもしれません。
(確か京都検定においても基礎知識だったかと思います)
とはいえ正直言って、私はこの絵を教科書で見た記憶が全くありません。
日本史は好きだったので教科書は進んで手に取ってはいたはずなのですが、まるで覚えがありません。
最近の教科書には載っているということなのでしょうか?
もしや日本史ではなく、美術の教科書に載っていたのでしょうか?
どちらにせよ私は、京都検定に出会うまで『瓢鮎図』を知らずに生きて来ました。
というわけで、教科書にも載っている国宝の水墨画と言われてもそんなもの知るか、という感じではあったのですが、何とも言えないこの『瓢鮎図』に昨年お目に掛かる機会があり、それからというもの、私はこの作品に心惹かれるようになってしまいました。
惹かれた理由を説明するのは難しく、この何とも言えない素朴な味わいが良い、としか教養のない私には説明が出来ませんが、とにかく『瓢鮎図』が好きになってしまったわけです。
『瓢鮎図』は、人と鯰が特徴的な水墨画で、大抵の人はこの絵を見てもこの2点ばかりに目を奪われてしまうと思います。
私もそうでした。
ですが『瓢鮎図』の旨みは、この2点だけを眺めていても味わうことが出来ません。
その味わい方を知ることが出来たのは、今回この芳澤勝弘氏の『「瓢鮎図」の謎 国宝再読 ひょうたんなまずをめぐって』に出会ったからです。
もちろん美術品の楽しみ方は十人十色ですから、旨みも何も自分が見て取ったもの、感じたものが全てという方はそれで良いわけです。
ですが、やはり芸術を鑑賞するからには作者の意図を知りたいと思うのが、自然な流れではあるかと思います。
私は図書館で偶然この本を手に取りました。
最初から探していたわけではなく、暇つぶしに足を運んだ書架のギッチリと詰められた本棚の一区画の中において、本当に偶然にこの本に目が留まってしまいました。
というわけで今回、なんとなく好きだった『瓢鮎図』を学んでみる機会を偶然得ることが出来ましたので、その結果を本の紹介も兼ねてこちらに書き記そうと思います。
そもそも『瓢鮎図』はどこにある?
妙心寺の境内は広く、大徳寺や東福寺、南禅寺や天龍寺においても常にそうなのですが、その広い境内の中でお目当ての塔頭寺院の場所を探すのは一苦労です。
それに比べ退蔵院の場所はわかりやすく、南総門から目指すと特にわかりやすいです。
南総門を北へ進み、浴室(明智風呂)の前まで来たら左に曲がるだけです。
退蔵院は通年公開が行われている塔頭です。
そのため、四季折々の風景を楽しむことが出来ます。
一番人気のある季節はやはり、紅しだれ桜が楽しめる春でしょうか。
退蔵院の方丈にて『瓢鮎図』の模写が展示中
他の寺社でもお馴染みですが、国宝や国宝級の美術品は国の管理機関に預けられていることが多く、『瓢鮎図』の原本も京都国立博物館で管理されています。
というわけで現在の退蔵院では、本物の代わりに模写を拝見出来ます。
私が『瓢鮎図』に心惹かれるようになったのは、退蔵院でこの模写に出会ってからでした。
模写ゆえに間近で拝見することが出来ますので、気になる方は是非退蔵院へ足を運んでみてください。
人通りの多い場所に展示されていますので、すぐに見付けられると思います。
まとめ
長くなってしまったので、今回は『瓢鮎図』を所有する退蔵院について紹介したところで終わりたいと思います。
『瓢鮎図』の旨みの味わい方や、今回私が『瓢鮎図』について学んだ事についてはその②でお届けしますので、よろしければそちらもご覧ください。