立華の京都探訪帖

1200年の都を歴史・文化的視点から楽しむ旅記録 ᝰ✍︎꙳⋆

祇園祭の主役は山鉾?真の主役の存在とは

 

祇園祭の主役を山鉾だと思っている方が多いと聞きます。

祇園祭が何のために行われているか、そしてその神事の一つである山鉾巡行がどんな役割を果たしているかを知らない観光客にしてみれば、そう思ってしまうのも無理はありません。

一観光客である私も、祇園祭の主役を山鉾だと思っていました。

山鉾巡行にあれだけ多くの人が関わり、大変な賑わいを見せ、見た目も見事となると、山鉾が一番の主役であると思い込んでしまいがちです。

それでは祇園祭の主役とは何なのか。

今年の祇園祭では、現地にてその主役に初めてお目に掛かることが出来たので、それについて今日は書いてみたいと思います。

 

そもそも祇園祭とは何なのか?

全国各地にはさまざまなお祭りがあり、各々に意味がありますが、かなり簡単に言いますと、祇園祭は疫病を祓うためのお祭りです。

そもそもが伝染病を鎮めることを目的に、869年に行われたのが始まりとされています。

しかし、この疫病とはいうものは人の力だけで鎮められるものではない、というのが日本の伝統的な考えですよね。

つまり神の力が必要になります。

祇園祭は八坂神社の祭礼ですので、八坂神社の神様の力をお借りして、その災厄を祓おうというわけです。

祇園祭では、八坂神社の三人の神様を神輿にお乗せし、市内を回ることで疫病退散のご利益を願います。(諸説あり)

そういうわけで、祇園祭の主役は山鉾ではなく、神々を乗せた神輿(御神体)なのです。

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今年はたまたま16日に八坂神社を訪れる機会がありましたので、舞殿に安置されている神輿の姿を拝むことが出来ました。

普段この神輿3基は八坂神社の神輿庫に収められており、7/10の鴨川での神輿洗式(中御座のみ)、お迎え提灯を経てから、7/15の宵宮祭において神々の御霊をお乗せします。

 

神幸祭還幸祭

山鉾巡行が終わると、御霊をお乗せした神輿3基は市内を巡り、四条通にある御旅所に留まります。

これを神幸祭といいます。

八坂神社にお戻りになるのは、24日の後祭の山鉾巡行が終わったあと。

これが還幸祭です。

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神輿が御旅所に鎮座されている姿を拝見したのは今年が初めてだったので、お目に掛かることが出来て感動しました。

そもそも神輿がとても立派で、そのお姿自体にも惚れ惚れしました。

 

神輿は3基!中御座・東御座・西御座

神輿3基それぞれについても軽くご紹介します。

 

中御座

中御座にお乗せするのは八坂神社の主祭神である素戔嗚尊です。

神輿3基の中でも一番の主役と言えるでしょう。

神輿の特徴は、屋根は六角形であることだそうです。

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東御座

東御座にお乗せするのは素戔嗚尊の妻である櫛稲田姫命です。

神輿の屋根は四角形。

デザインがところどころ、中御座と少し異なっているのが面白いですね。

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西御座

西御座にお乗せするのは素戔嗚尊の子である八柱御子神です。

こちらの神輿の屋根は八角形。

神輿それぞれの屋根の形が異なるとは、今まで知りませんでした。

何故異なるのか、またそれぞれの形に意味があると思うので、また後日調べてみたいと思います。

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さいごに

祇園祭のみならず、各地域のお祭りでは神輿を担ぐのが通例でしょう。

私も子供の頃はその神輿担ぎに参加したことがありますが、なぜ神輿を担ぐ必要があるのか、なぜ神輿を担いで町内を回らなければならないのか、そもそもなぜ神輿が存在するのか、その意味を全く知らず、そもそもそんなことを考えたこともないまま、今まで生きてきました。

神輿を担ぐ際の掛け声一つ取っても意味があり、子供の頃は知らずとも何の問題もありませんが、大人になった今、そして今回祇園祭の神事の数々を知ったことで、そういった伝統的な日本文化を改めて考え直すことの大切さ、そしてそれを知ることの面白さを知らされました。

京都検定の観点においても、今までは祇園祭の神事それぞれを覚えることに難しさを感じていたのですが、今年は祇園祭の期間中に現地に足を運んだこともあって、大分知識を増やすことができました。

今年の祇園祭では、祇園祭のみならず、日本のお祭りというものの素晴らしさを教えてもらったように思います。