それが冷泉家です。
毎年11月初めの数日間だけ、秋期京都非公開文化財特別公開のイベントに合わせて公開されています。
京の都は長きに渡り、公家の住処でした。
公家というのは天皇に仕える貴族などの位の高い人々のことで、明治維新で天皇が東京に移るまで御所の周辺にその住まいを固めていました。
現在の京都御苑には、近衛家の邸跡や桂宮邸跡、今は収納展示館として生まれ変わっている閑院宮邸跡、拾翠亭という茶室が残る九条家の遺構など、公家屋敷があった痕跡がいくつも残されています。
天皇に付き従い多くの公家が東京(江戸)に転居する中、京都に残った公家もいました。
冷泉家はどんな家系?
800年の歴史を持つ「和歌の家」として有名な冷泉家。
その理由は、藤原俊成や『小倉百人一首』で有名な藤原定家が遠祖だからです。
彼らは藤原氏の中でも御子左家という家系で、その御子左家がのちにまた、二条家・京極家・冷泉家の3つに分かれることになります。
冷泉家の初代は、定家の孫の為相。
二条家と京極家の初代となった為氏と為教とは異母兄弟ですが、為相の母は『十六夜日記』でも有名な阿仏尼です。
冷泉家の特別拝観へ
冷泉家は、完全な姿で現存する唯一の公家住宅だと言われています。
現在地には1600年頃からあるそうで、秀吉が形成した公家町の一画に現存しています。
こちらは表門です。
形式は本瓦葺きの薬医門。
京都御苑の北、今出川通沿いというと真っ先に思い浮かぶのは某大学でしょうか。
表門の向こうにはその校舎が見えていますね。
台所棟には前庭、供待の腰掛、式台(大玄関)、祇園祭長刀鉾「しゃぐま」の魔除け、飾り竈)があります。
台所棟から順路に沿って進むと立蔀(内玄関)、そしてその向こうには塀重門が設置されており、座敷棟(上の間、中の間、使者の間)も外側から見学出来ました。
最後にお目に掛かることが出来るのは、冷泉家に伝来した貴重な典書や古文書を収めている御文庫。
外観をガイド付きで見学出来ます。
またその御文庫のお隣には、現在建築中の「北の大蔵」もあります。
他では見ることの出来ない伝統的な技術が使われた本格的な土蔵建築なのだそうです。
表門の屋根の両隅には象亀瓦が設置されていました。
冷泉家の邸宅が御所の北に位置していることから、四神相応の玄武を表しているそうです。
さいごに
今年ではなく昨年のことなのですが、特別公開最終日に駆け込みで行って来ました。
京都検定の勉強を始めてから冷泉家の存在を知り、数年前からずっと中を見てみたいと思っていました。
なかなか毎年のこの連休時期に京都に行く機会が無かったので、昨年ようやく念願叶って見学してきました。
SNS上で見た、見学した方の評判があまり良くなかったのですが、個人的には行って良かったと思っています。
ガイドの方の説明もあり案内書もいただけたりと、敷地内はこうなっているのかと大変勉強になりました。
見学ルートの出口付近には売店があり、パンフレットが売られていたのでもちろん購入。
読んでみると二条家、京極家と冷泉家の起こりやら何やらの違いが頭の中で明確になりました。
京都検定の公式テキストだけでは知ることの出来ない知識も、たくさん書かれていました。
もし今年見学に行かれる方がいらっしゃれば、是非お手に取ってみてください。