前回の町家の日イベントの続きです。
2.八竹庵(旧川崎家住宅):京都市指定有形文化財
八竹庵は「大塀造」です。
大塀造とは、塀や壁によって、建物が表通りに面していない町家のことです。
関西建築の父:武田五一も設計に携わっており、和洋折衷、建築当時の流行や最先端の技工が尽くされています。
1階入ってすぐ右に洋間があるので、洋風の部分も多いのかと思いきや、、、
客間・仏間、そしてお庭の続きに立派な蔵があって驚きました。
蔵入口
八竹庵は今回の町家イベント限定の公開ではなく、通常も入館料を支払えば見学が可能です。
昨秋の「京都モダン建築祭」にも参加されていましたが、その際には時間が足りずお邪魔出来なかったので、今回の町家イベントで見学が出来て良かったです。
秦家住宅は、表屋造です。
秦家は小児薬「奇應丸」の製造卸業を商う薬種業を家業としていました。
今も秦家の方がお住まいになっています。
要問合せの見学や料理の会、特別企画など、様々な取り組みをされています。
現地に足を運んでみると、なんと今回は案内付きの内部見学も可能だとのこと(要別料金)。
個人ではなかなか無い機会なのでこれは逃せないと思い、ニワより奥の部分も拝見してきました。
商いをされていた頃に使われていた貴重な品々は非常に興味深く、間近で見せていただくことができ、とても面白かったです。
奥庭も素敵でした。
以下は日程が合わず見学は出来なかった京町家ですが、外から眺めることは出来たので外観の写真のみお届けします。
4.杉本家:重要文化財
重要文化財のこちら、杉本家住宅も表屋造です。
杉本家の庭は「京町家の庭」として国の名勝にも指定されています。
杉本家は今回の町家イベント以外にも、2種類の公開があります。
節句などに合わせた特別公開や祇園祭宵山の「屏風飾り」、それとは別に週末には一般公開も行われています。
5.長江家:京都市指定有形文化財
長江家も表屋造です。
五代目の頃、禁門の変にて焼失するも四年後には再建されました。
こちらの長江家も、杉本家と同じく祇園祭の宵山期間には「屏風祭」が行われ一般に公開がなされますが、特別企画がある際以外の通常は非公開の町家です。
6.無名舎(京都生活工藝館、吉田家):京都市指定「景観重要建造物」、国指定登録有形文化財
表屋造の吉田邸。
現在も当主の方がお住まいの築114年の町家です。
こちらも今回のイベント限定の公開ではなく、事前予約制にて公開がなされています。
御当主の方は美術品工芸収集家だそうで、季節ごとの設えでお迎えしていただけるとのこと。
なんと魅力的な…!いつかお邪魔してみたいです。
7.船鉾町会所
こちらは祇園祭船鉾の拠点として利用されていますが、町内の自治のための施設としても使われている町会所です。
蛤御門の変で焼失してしまいましたが、そのあと明治初年に再建。
平成19年に改修がなされています。
京都検定の勉強の過程において、公式テキストなどで町家についての勉強をしてはいるものの、今まで内部の様子は写真やテレビ映像で見たことがある程度でした。
今回いくつかの京町家を見学出来たことで、町家についてとても楽しく勉強できた上に、京都の人びとの暮らしが息づいている町家の魅力を、身をもって感じる事ができました。
同じ「町家」でも、それぞれの町家によって長く住むための改修や間取りをよりよく活かすための工夫がなされていたり、各家の方々の趣味趣向が表現されている点も非常に面白く、思っていた何倍も見学会を楽しませていただきました。
今回の町家の日イベントを通して痛感したことは、机上で勉強して知識として知っていることと、現地で見て聞いて学んだこととはまったくの別物だということです。
文化は体感してこそ学べるものだということ、そしてまた体感してこそその良さの真髄を感じられるということを、今回の町家イベントを通して改めて知ることができました。
予定が合えば来年もまた参加させていただきたいです。