立華の京都探訪帖

1200年の都を歴史・文化的視点から楽しむ旅記録 ᝰ✍︎꙳⋆

京都は小学校発祥の地!京都市学校歴史博物館でその歴史を学ぼう

 

京都は小学校発祥の地です。

というのも京都では、法律として日本の学校制度が出来る3年も前に、すべての子供が通うことが出来る小学校が誕生していたからです。

その名も「番組小学校」。

全部で64校、日本で最初の学区制小学校でした。

 

旧校舎を利用した、京都市学校歴史博物館に行ってみよう

そんな歴史ある番組小学校について知ることができる場所がこちら。

京都市学校歴史博物館です。

開館は1998年。

2023年の今年は、開館25周年を迎えます。

元は番組小学校の一つである「開智小学校」だった場所で、統廃合により1992年に廃校になっています。

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場所は繁華街、四条河原町からも比較的近いところにあります。

私が足を運んだ際にはちょうど工事が行われていたので、内部見学が出来たのは1階の展示室のみでした。

普段は2階の見学も可能なようです。

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小学生の校外学習の場にもなっているようで、展示室の随所にやさしい内容の配布物が設置されていたりと、非常にわかりやすい展示内容になっていました。

京都検定の勉強を兼ねて訪れたのですが、貴重な展示の数々のおかげもあってか、自分の知識をかなり増やすことが出来たと思います。

 

展示について

展示内容は非常に充実しており、見応え抜群です。

もともと京都には、江戸時代から既に私塾や寺子屋が誕生していました。

1867年には、寺子屋経営者の一人である:西谷基水(にしたにきすい)が官立の教学所設立の建白を出したことから、のちに槇村正直(まきむらまさなお・第二代京都府知事)が小学校の設立に乗り出していきます。

とはいえ小学校の設立に尽力したのは行政ではなく、主として町衆だったと言います。

 

気になった展示は以下の通りです。

  • 小学校設立に尽力した森寛斎西谷良圃幸野楳嶺遠藤茂平熊谷直行広沢真臣に関する史料
  • 伊藤仁斎が創立した古義堂の額(写真パネル)
  • 石田梅岩石門心学の学習風景(写真パネル)
  • 手島堵庵作のいろはうた「祢むりさ満し」(写真パネル)に関する展示
  • 島津源蔵の長男:梅治郎が完成させ「島津の電気」とも呼ばれた感応起電機(実物)

気になった展示は他にも沢山あるのですが、京都検定の観点から試験に出題がありそうなものを選んでみました。

感応起電機は、京都勧業博覧会にも出品された貴重な品ということで、お目に掛かることが出来て良かったです。

 

それとは別に気になったのは、横井小楠暗殺に関する人相書(複製)でした。

下御霊神社のすぐ近くに殉節地の石碑がありますね。

複製とはいえじっくり眺めて来ました。

 

教科書展示の部屋もあります。

たくさんの種類の教科書が展示されており、ちらっと見るだけでも、当時の教育の風潮のようなものを感じることが出来ます。

THE・教育というような内容のものもあり、現代では当たり前過ぎるせいかわざわざ学校では教えないせいで、逆に子供たちが出来ていないだろうこともしっかりと書いてありました。

(たとえば、出掛ける時には必ず行き先と帰宅時刻を親に伝えるだとか、そういったことです)

教科書の名前までははっきり覚えていないのですが、軍国主義に向けての教科書もありました。

興味があってもネットで主なページの画像を見掛けるぐらいで、なかなか実物をぱらぱらと捲ることが出来る機会はないので、非常に興味深く拝見してきました。

展示の後半には、昭和の給食メニューの展示もありました。

京都出身の画壇には、この番組小学校卒業者もいるため、彼等から寄付された美術品の展示もあるので、美術ファンも楽しめる展示になっていると思います。

 

グッズ販売もあります

過去の展示に関する図録が充実しており、どれを持ち帰ろうか迷ったのですが、とにかく今はピンポイントで番組小学校の歴史だけを学びたかったので、こちらをいただいてきました。

非常に読みやすく、わかりやすく、情報たっぷりな図録になっていますので、気になる方は是非現地でお買い求めください。

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さいごに

京都は、日本で最初の幼稚園:幼稚遊嬉場や、日本で最初の生涯のある子供のための学校:京都盲唖院ができた場所でもあります。

京都検定の勉強において、番組小学校の項目は個人的な関心がなければ、スル―してしまいがちだと思います。

何故なら公式テキストには、それに関する記載がほとんどないからです。

(恐らく明治に入って出来た大学などの名前が書かれている程度?)

幼稚遊嬉場京都盲唖院は、京都検定1級を受ける人にとっては必須な知識だと思いますが、恐らく公式テキストには記載がないと思います。

これらは京都出身で、子供のころからその歴史に触れている京都人にしてみれば新たに学ぶ必要のない単なる常識なのだと思いますが、私のような京都に縁もゆかりも無く生きてきた人間にとっては、自主的に学んでいかなければならない内容です。

私のみならず他県に生まれ育った京都検定受験者にしてみれば、京都検定は京都人にとっての常識がさも当たり前のように出題される検定だということは、痛感しているでしょう。

そういう方にこそ是非足を運んで、番組小学校について存分に知識を蓄えていただきたい場所が、この京都市学校歴史博物館だと思います。