立華の京都探訪帖

1200年の都を歴史・文化的視点から楽しむ旅記録 ᝰ✍︎꙳⋆

王朝貴族文化の奥深さを教えてくれる本に出会いました

 

ここ最近は『源氏物語』をより深く理解するために、いくつか本を読んでいました。

今日はそのうちの一冊をご紹介します。

 

感想

タイトルからしても『源氏物語』を読み解くために書かれたことがわかる本なのですが、純粋に平安時代の王朝文化を学ぶことを目的とした方にもおすすめできる本なのではないかと思いました。

 

以下に気になった点をいくつか挙げます。

・現代では当たり前の存在でありながら、平安時代にはなかった調味料について

・皇子の給料に関する規定が律令があった

・使い分けられる天皇の呼称

・法においては天皇より下位の上皇

・皇女の結婚と続く近親婚への懸念

・罪深い伊勢斎院と罪深くない賀茂斎院

・惟光は本当に下っ端の雑用係なのか

・「太り清げ」がうつくしい貴公子の条件(光源氏は太っていた)

・ただただ天皇の近くにいることも仕事のうち

 

現代においてはいわゆるイケメンと呼ばれる方々はスタイルが良く、顔はどちらかというと目鼻立ちがはっきりしていることがその条件でありますが、王朝時代はそうではなかったという点が非常に興味深かったです。

もちろん平安顔という言葉が現代でも通じるように、当時の人々の顔立ちが現代人のそれとは異なっていたことは誰しも想像できることだと思いますが、それにしても「太り清げ」がイケメンの条件だという点は現代人には衝撃だと思います。

ほっそりとしたスタイリッシュな男性は、当時ではどちらかというと貧しく見えたのでしょうか。

だからと言ってもちろん、ぶくぶくと太っていたわけではないでしょうが、肥えていることこそが富であり、裕福であることの象徴だったのかもしれませんね。

また『源氏物語』において、惟光という人は光源氏の従者の立ち位置にいる人ですが、今回こちらの本を読んだことで彼が実際にはどのような地位にいる人なのかを知り、衝撃を受けることになりました。

 

さいごに

今回こちらの本を読み進めていくにあたって、現代人の感覚で遥か昔の書物を読むということは、解釈違いを起こしうる可能性が高く、非常に危険なことなのだということを教えられました。

だからこそこういった本を読むことで、時代よって人々の考えや感覚・常識が異なることを知り、いつもそれを面白く学ぶことができるのだと思います。