建仁寺は大人気の観光エリア・祇園にあるため、若い方の参拝が多いお寺です。
賑わいのあるその建仁寺の北にあるのがこのお寺、名を正伝永源院と言います。
普段は非公開の寺院ですが、春と秋に特別公開があります。
文博の有楽斎展に行く前に訪れるべきだと思い、今回初めて足を運びました。
はじめに
元々このお寺は数十あった建仁寺塔頭の内の2つであり、正伝院と永源庵という別々のお寺でした。
それが明治の廃仏毀釈を経てこの地で一つになり、正伝永源院と名を変え今に至っています。
方丈(客殿)にはそれぞれのお寺の扁額が飾ってあり、二つの寺院の歴史をここに感じることが出来ます。
方丈
こちらは方丈庭園です。
ツツジが綺麗でしたがそれよりも新緑が美しく、座ってゆっくり眺めている方も多かったです。
茶室『如庵』
今回の拝観における一番の目的は、国宝の茶室を見ることでした。
これがその茶室『如庵』です。
ただしこちらはその複製であり、本物は愛知県犬山市にあります。
その本物の『如庵』は、今の正伝永源院の前身である正伝院にあった茶室で、廃仏毀釈のあとは一度目が東京・二度目が神奈川と移転を繰り返し、名古屋鉄道の所有になったあと、現在の犬山市有楽苑内へ移築されています。
なんと多忙な茶室でしょうか。
複製であってもそのお姿をこの場所で拝見出来るのは嬉しいですよね。
庭園他
美しい苔のお庭もゆっくり眺めることが出来ました。
石の配置が絶妙です。
こちらは花頭窓。
上部に透かし彫りがある花頭窓に初めて出会いました。
たまらない美しさです。
供養塔
奥に見えるのが、ちょうど有楽斎没後400年の節目(2021年)に正伝永源院にやって来た、武野紹鴎の供養塔です。
この供養塔は堺の今井宗久が建立したもので、元は堺にあったものを有楽斎が正伝院に移していました。
それは堺の豪商であり茶人でもあった武野紹鴎を、有楽斎が敬愛していたからだと考えられています。
驚いたことに、2021年のこの移築は敢えて没後400年の節目に合わせたものではなく、たまたまこのタイミングに合っただけなのだそうです。
運命としか言いようがない巡り合わせですね。
有楽斎、正伝永源院に眠る
有楽斎御本人のお墓も、こちらの正伝永源院にあります。
武野紹鴎の供養等によく似た宝塔が造られています。
場所は門を入って左手です。
御朱印
折角なので御朱印もいただいてきました。
左は特別公開の際には定番の御朱印だそうで、右は今回限定の御朱印だと受付の方に伺いました。
最後に
つつじと新緑の庭園特別公開は、4/10から5/14まで。
なんと5月末からは新緑の庭園特別公開と名を変え、引き続き公開がありますので気になる方は是非この機会にどうぞ。
こちらは織田有楽斎400年遠忌を記念した特別公開だそうです。
恐らくは現在、京都文化博物館で開催中の『大名茶人 織田有楽斎』展に合わせてだと思うのですが、新緑の特別公開は展覧会最終日の6/25まで。
会期中は正伝永源院の拝観券と有楽斎展のチケットの相互割引も実施されています。
嬉しいですね。