立華の京都探訪帖

1200年の都を歴史・文化的視点から楽しむ旅記録 ᝰ✍︎꙳⋆

平等院は鵺退治で有名な源頼政最期の地!

 

水面に反射する阿弥陀堂、通称・鳳凰堂が美しい宇治の平等院

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今でこそ長閑な観光地といった印象を受ける宇治川周辺ですが、このエリアは幾度となく戦乱の地として使われてきました。

 

今回ご紹介するのは、平等院境内における、源平合戦の口火を切ったとされる以仁王に仕えた源氏・源頼政ゆかりの場所です。

 

 

そもそも源頼政とは?

源頼政平安時代末期の武将です。

京都検定的にいえば、鵺退治で有名なあの人です。

以仁王に仕えていた武人で、平清盛から破格の待遇を受けた人でもありました。

それゆえ平治の乱では平清盛に味方したものの、のちに以仁王とともに平氏打倒を掲げるようになります。

 

この源頼政という人は京都検定の公式テキストにも何度か登場します。

それもあって、京都検定の勉強はしているけれど日本史にはさほど詳しくはないという方でも、鵺退治と聞けば「ああ、あの人か」と思い出せる方も多いのではないでしょうか。

そんな彼の先祖は、藤原道長に仕え、大江山の鬼・酒呑童子を倒したり、大覚寺が所蔵する近年大人気の名刀・膝丸で土蜘蛛を切ったといわれるあの源頼光です。

怪物退治が得意な血筋だったのでしょうか。

 

扇の芝

4月中旬頃になると藤の花が楽しめる藤棚の近くには、観音堂があります。

現在は修理工事中の場所ですが、その北側にあるのが、源頼政の最期の地・扇の芝です。

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この扇の芝は、とある戦いの末、頼政が自害した場所だといわれています。

 

頼政が仕えていた以仁王は、源平合戦の口火を切った人でした。

ちなみに以仁王とは、平清盛に幽閉された後白河天皇の第3皇子で、母は藤原氏

本来は天皇になれるはずの人でしたが、それを清盛に阻まれたことなどもあり、絶大な権力を持つ平家に不満を募らせていきます。

のちにその不満が爆発したことで全国の源氏に「以仁王の令旨」を下し、打倒平氏を掲げて挙兵を促すことになりました。

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この令旨が発動されたことで、源頼朝や木曽(源)義仲らが挙兵。

平家が滅ぼされることになった、あの壇ノ浦の戦いへとつながっていきました。

 

以仁王頼政がともに戦った宇治川の戦いでは、平氏の圧倒的な兵力により源氏側が不利な状況でした。

それを見てとった頼政は、以仁王を逃がし(しかし奈良へ助けを求めに行く途中に討たれる)、自分は平等院に立て籠った末、自害する道を選びます。

その場所が平等院境内にある、この扇の芝なのだそうです。

 

源頼政の墓がある最勝院

そんな源頼政の墓が、扇の芝と目の鼻の先にある平等院塔頭・最勝院に存在しています。

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門をくぐり左へ進むと奥に見えるのが、源頼政の墓。

立札によると彼は歌人としても名高い人だったそうで、辞世の句も残されていますよ。

参拝者は多くはないので、ゆっくりとお参りすることができます。

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源頼政は享年77歳だったそうです。

その年まで戦場に出ていたとは、今の時代からすると考えられないですよね。

それでも以仁王に挙兵を促すほど、平氏に対して思うところがあったのでしょうね。

 

浄土院にある源三位頼政顕彰碑

最勝院のすぐお隣にあるもう一つの塔頭・浄土院には、頼政の顕彰碑もあります。

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入ってすぐのところにあるのですが、今までは見逃していました。

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残念ながら専門家ではないので何と書いてあるかまではわかりませんでしたが、「源三位」と書いてあるのはわかりました。

「源三位」とは頼政のこと。

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頼政清和源氏としては初めて従三位に叙せられた人で、後世においても「源三位」が通称となっているようです。

ネットで「源三位」と検索すると、頼政の情報がたくさん出てきますよ。

 

さいごに

観光客が多い宇治エリアは、まるでかつて戦乱があったようには思えない美しい景観が楽しめる場所です。

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ついその景色ばかりに気を取られてしまいますが、その歴史にも目を向けてみると、より宇治観光が楽しめるのではないかと思います。

 

源頼政ゆかりの地はたくさんあるので、また別の機会にご紹介できればと考えています。

 

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